イグアナの解説


一応ガラパゴスのイグアナは、2属3種(オカイグアナがガラパゴスオカイグアナとサンタフェオカイグアナに分けられているので)に分類されている。
無論亜種まで分類したら様々な説があるようなので、ここでは述べない。

大昔、1頭の妊娠したメスのイグアナがガラパゴスにたどり着いた・・・・もちろんオスとメスの両方が同時期にたどり着いたと考えても良いけれど、偶然巡り会うとか相性という面倒なことがない方が話は早いだろう?

そして海にエサを求めた奴が、荒い波に流されないように岩にしがみつくために爪が鋭くなり、1時間以上も海の中に潜っていられるように、生理機能を進化させた。
岩に張り付いた海苔をこそげ取って食うためには、鼻面が丸い方が都合がいい。

もし鼻面がとがっていたら。顔を横向きにしてこすり取らなければならないだろう?

ウミイグアナの鼻面

オカイグアナの鼻面

海苔の成長回復力はすごいらしく、二週間で6倍にもなるのだそうで、だからこそ、これだけのウミイグアナを養っていけるわけだ。
うじゃうじゃとまるで佃煮のようにおり、まぁ、超過密状態である。

もし、ウミイグアナが日本近海にいたら、海苔の漁場を荒らす有害鳥獣ということで駆除されるんだろうなと思う。
エクアドルの人たちは海苔を食べる習慣がないだけであって、つくづく害・益の基準ってのは人間側の都合だ。

尾はやや扁平で、泳ぐときは手足を体にくっつけて、尾だけをくねらせて推進力にする。
こういうときに扁平の方がいいわけだ。(ゴジラも同じように泳ぐが、しっぽの断面は円筒形だから泳ぎに適していないことになる)
一方、陸にエサを求めた連中、を資料によっては
「リクイグアナ」と呼んでいるが、海(ウミ)に対しての反語は、陸(リク)ではなく陸(オカ)なのだそうで、正式には「オカイグアナ」と呼ばなければならないそうだ。

なるほど、「陸軍(リクグン」に対して「海軍(カイグン)」であって、決してウミグンとは言わないではないか!だから俺も「オカイグアナ」と呼ぶことにする。

 さて、そのオカイグアナたちは、サボテンを食うことにしたのだけれど、サボテンも食われちゃたまらんということで、低木生をやめてイグアナが届かないような高木に進化する。(もちろんゾウガメの捕食圧の方が大きいんだろうけれど)

 でもってオカイグアナはサボテンに届くように首が長くなったか?というとそうではない、枝が落っこちてくるのを気長に待つようになったのだ・・・・
たまに落っこちてくるサボテンを奪い合う生活はやはり厳しいらしく、大繁栄を誇っているウミイグアナに対して、オカイグアナは現在ダーウィン研究所で人工孵化、飼育繁殖させている状況だ。

サンチャゴ島では、19世紀末頃に人間の持ち込んだブタのせいで絶滅。

1950年、第二次大戦中にバルトラ島に米国軍が基地を作ったために、絶滅寸前まで追い込まれた。
米国兵がおもしろがって銃の的にして遊んだからだ。

 そこでわずかに生き残っていたオカイグアナをノース・セイモア島に移し、後にバルトラ島へ戻される。
 しかしまだノースセイモア島にも残って繁殖を続けているようだ。
この島のサボテンは低木だから、この先ノースセイモア島のサボテンはどうするのだろう?

詳しくは千石正一先生がお書きになった本を読んでくれ。

「カラー版・千石先生の動物ウォッチング」
〜ガラパゴスとマダガスカル〜

(岩波ジュニア新書刊)

(こういう本をGEUの図書室に置いといてほしいよなぁ)


ウミイグアナとオカイグアナの先祖は同じだと考えられているので、まさに適応放散を目撃していることになるのだ。
適応放散というのは、同じ種類の奴が様々な環境に散ったために、そこで自分に合った形になってしまう。ということだ。

適応放散について、詳しく知りたい人はこちらへ
熊谷さとしのフィールドノートへリンクします)




そして今!ウミイグアナとオカイグアナの間に、とんでもないことが起こっているのだ!

 エルニーニョのせいで海岸の海苔が枯れてしまい、食い物が無くなったオスのウミイグアナが陸にエサを探し求め、ナント!メスのオカイグアナとの間にハイブリッドが生まれてしまったというのだ!

 こいつには父親の形質である長い爪があるので、サボテンに登ってワシワシと食ってしまうのだという・・・せっかく食われないように高木になったサボテンは、今後どうすればいいの?!ってなもんだ。
サウス・プラサ島に行けば見られるのだというが、エルニーニョの影響が無くても、あり得る話だと思う。



※写真:藤原幸一「ガラパゴス」より

 千石先生の本に寄れば「遺伝的距離が近い(属が違うのに雑種ができるほど)にもかかわらず、形態的にも生態的にも違う」ということは、急激な変化が生じたことを示しているという。
ガラパゴスが生きるために厳しい場所であったからこそ、遺伝的距離はさておき、ともかく生き残るために体の方を環境に合わせて作り替えていったのだ。
すごいスピードで進化しているからこそ、「ただいま準備中」や「工事中」の進化の途中が目撃できるわけなのだ。

 ほかの地域ではもっとゆっくり進んでいたのだろう・・・あわてて体の形や生態を変えなくてもいいほど環境に急激な変化はなく、だからこそゆっくりと長い時間をかけて、先細りの種や進化する方向の選択を間違えた種は、絶滅する時間や反省して違う方向に進化する時間だってあったのかもしれない。
そう考えたら人間のライフスタイルの変化と共に、急激に起きている自然破壊という変化に、里山動物たちが合わせられないはずだ・・・・ということが見えてくる。





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監修 :熊谷さとし    編集 :熊谷なつき

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