東京の奥多摩で、里の柿を狙ってクマが山から下りてくるのを防ぐために、柿もぎボランティアを募ったら、1000人もの応募があったという。
地元の人の高齢化で、もぎ手がいないためだそうだ。もいだ柿は干し柿にしてボランティアで分けるという。
一方、日本各地で、針葉樹の植林をドングリなどの広葉樹に変えたり、山の中に野生動物の餌になるアケビやサルナシといった「なりもの」の木を植えたり、 また 哺乳類用の巣箱を設置したりして、彼らが山から下りてこなくても済む「事足りた山」に戻そうという活動もある。私もそんな一人だ。
地主の許可を得て、山の中に植える木は結実を早めるために実生からではなく、接ぎ木して育てた苗木を植えたり、都会の庭木で、実ってもほったらかしにされていた木を移植
している。
しかし山の中は条件も悪く、結実に至るのは5〜6%くらいしかない。
それでも山の中を見回り「やっと今年は3個実った」などと、一喜一憂している。
そんな自分から見ると、せっかく野生動物生息地にたわわに実った柿を、人間たちが寄っ
てたかってもいでる姿は、いささか複雑に映ってしまう。
これだけの人数が集まるのなら、山の中に「なりもの」の木を移植した上で、「やむを 得ず今年はもぐけれども、数年後からは山の中で食べてくれ」というふうにはできなかっ たのだろうか。と思う。
クマは山に食べるものがないために里に下りてきたわけで、目当ての柿がなかったら、
もっと付近を徘徊するのではないだろうか。
それにこの時期、柿を当てにしているのはク
マだけではない。ムササビ、テン、タヌキ、アナグマ、サル、ハクビシン、多くの鳥たち
…日本に棲む野生動物が厳しい冬を乗り切れてこられたのは、里山に柿があったからだと
言っても過言ではない。
地元の人たちにとってクマは存在しているだけでも脅威だろうから、クマのターゲット
になる柿をもいでもらえば不安が消えるのだろうし、参加したボランティアは、深く考え
ずに「干し柿が食える」というレジャー気分で参加したのだろう。
ボランティアを呼びかけたクマの研究者は、自分たちがテレメ(発信器)をつけて追跡調査している研究対象が
、射殺されてはたまらないということもあろう。
しかし、対野生動物問題は「出てきたから撃つ」「被害が出る前にもぐ」「増えたから 間引く」といった、場当たり的な対策では、何ひとつ解決されない。と思うのだ。


