熊谷さとしのフィールドノート
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野生動物と日本人

その1 日本の幻獣を科学する

日本にはさまざまな幻獣が存在する。
妖怪伝説、民話、伝承・・・これらの多くは、見せ物小屋に展示されたり、中には病を治す道具であったりもして信仰を集めたりしたのだろう。

しかし、歯式を見れば、明らかに現存の動物をつなぎ合わせていたりするのだが、「よくまぁ、作ったね」と感心する程の遊び心や、それでいてちゃんと自然を敬う尊い信仰心が感じられたりする。

だからあくまでも「それらの正体を暴く!」という姿勢ではなく、現在の我々が失いつつある、当時の人たちの「自然に対する畏敬の念」や「遊びの精神」という部分を尊重したいと思うのだ。

【カッパの手】

まずは「カッパ」を取り上げる。写真はカッパの手のミイラとして伝わっているモノだ。
この手で病気の子どもをなでると、病が治ったという。

見ての通り、カワウソの右前足である。
しかし、これはおそらく、まぎれもない「ニホンカワウソの手」であり、むしろ今ではその方が貴重だ。

【龍のミイラ】

これは、大阪の瑞龍寺に伝わる「龍のミイラ」だ。
体長、約1メートル。
信仰の対象というよりも「工芸品」のようで、どこかしらユーモラスな感じすらある。

ここで特筆すべきは、頭部だ。
歯式の分母が3.1.4.3で分子が3.1.4.2なのだ。

そう、イヌ科動物の頭である。大きさはキツネクラス・・・。
俺は、どうかキツネではなく「ニホンオオカミ」であって欲しいと願っているのだが・・・どうなんだろう?

【雷獣】

「雷獣」とは落雷の時に天から落ちてくる獣の総称で、
テンやオコジョのことを方言名で「雷獣」と呼ぶ地方もある。

写真は新潟県西生寺に伝わる「雷獣のミイラ」
歯式は上下とも「ちゃんとしたネコ」の歯式だ。(笑)
但し、ミイラになっても頭胴長(しっぽを入れない長さ)だけで35センチもあるので、かなりの大型のネコだと思われる。

「威嚇するかのように大口を開け、まさに飛びかからんとしている・・・云々」とあるが、 おそらく、屋根で寝ていたネコが雷に驚いて落っこちてきたのだろう・・・。
そのときの人々のあわてぶりを想像するとおもしろい。


【緑鳥】

うわさの高い名鳥「緑鳥之絵図」である。
この絵を家内に張っておけば火難をまぬがれるという。
その姿の説明は
「尾の長さが2尺2寸あまり(約65センチ)、身体は1尺9寸(60センチ弱)、色はネズミ色、顔の左右に白い立筋があり、目玉が少し飛び出ている。前足に羽の形をしたものがついており、爪が鋭い。」

・・・ネズミ色はともかく、これほどまで正確に?ムササビを記した古文書があったろうか!
ちゃんと針状軟骨のことまで書いてあって、うれしくなる!
計測の仕方も当時としてはちゃんと尾長、頭胴長と分けて計測している。

絵も、しっぽを背中に担いでいる姿や樹洞に入ろうとしているなど、どう見たってムササビなんだもの!

 

※これらの写真は、2004年夏に、川崎市市民ミュージアムで開催された
「日本の幻獣 未確認生物出現録」のカタログより、複写したものです。

日本の幻獣を科学する「第二部」

 

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