熊谷さとしのフィールドノート
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適応放散(てきおうほうさん)

適応放散というのは、同じ系統の動物が、様々な生活場所の環境に応じて、自分が暮らしやすくするために
体をつくりかえ、色々な場所に散っていくことをいう。

ここに、「ナントカ」という動物が10万頭いるとしよう。
これをそれぞれ2万頭ずつ、砂漠・密林・極地・川・海・土の中に放したとする。

そして、何百万年か後に観察する。
そうすると、みんな、それぞれの環境にあった体つきになっているはずなのだ。




▲ミツリンナントカ

▲ホッキョクナントカ

▲カワナントカ

▲ウミナントカ
砂漠に棲む「ナントカ」は、放熱しやすいように鼻面は長く、耳が大きくなっているに
違いない。
熱い砂の上をぴょんぴょん飛び跳ねているだろう。

密林に棲む「ナントカ」は、しっぽが木の枝に巻きつけられるようになっているかも
しれないし、皮膜ができて、木から木へ滑空できるようになっているかもしれない。
いずれにしても距離感を性格に測るために、顔は扁平で、目が中央に並んでいる。

極地に棲む「ナントカ」は、寒さから身を守るために、脂肪が厚く、毛も長い。
さらに、放熱を避けるために鼻面は短く、耳が小さく、体が大きくなっているはずだ。
雪の上でも歩けるように、足の裏に滑り止めの毛が生えているかもしれない。

川に棲む「ナントカ」は、指のあいだに水かきが発達して、しっぽは太く平たくなり、
泳ぐのに便利な体つきになっているだろう。
毛皮は水がしみ込まないように、びっしりと下毛が生えているはずだ。

海に住む「ナントカ」は、体が脂肪でまん丸になり、手足はヒレのようになって、魚を追いかけているに違いない。

そして、土の中に棲んでいる「ナントカ」は、ショベルのような前足でトンネルを掘り、目が
退化しているだろう。

おそらく、食べ物だってみんな違うはずだから、歯のつき方や本数も形も違い、結果、顔つきだって違っているはずだ。
食べ物が違うということは、胃袋の構造も違い、フンの形も違っているだろう。
その姿はきっと、最初の「ナントカ」とは、全然違う姿になっていると思う。

環境によっての変化は、地形・気候ばかりでなく、天敵から逃れるためとか、エサになるものを食べやすくするといった、様々な条件が重なっておこる。

この場合は、それぞれの環境に放したわけだけれど、人間の手を加えず自然な状態で、
環境に応じて体の機能や形をつくりかえながら散らばることを、「適応放散(てきおうほうさん)」という。

具体的に、実際の動物の適応放散については、齧歯目(ネズミやリスなど)の適応放散と、 食虫目(トガリネズミやモグラなど)の適応放散のページも用意してあるぞ。

齧歯目(げっしもく)の適応放散
食虫目(しょくちゅうもく)の適応放散
収斂(しゅうれん)

進化について、もっと知りたくなったら、動物おもしろ基礎知識を読むといいぞ。

 

 

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