熊谷さとしのフィールドノート
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富山市ファミリーパーク

「富山市ファミリーパーク」は、呉羽丘陵というもともと里山だった場所にある動物園だ。
 俺の義兄の一人である園長の山本茂行氏は、開園当初から「郷土の動物」の展示に力を入れてきた。

 開園するときは郷土の動物を集めるのに苦労したという。
当時は保護されたタヌキやキツネが動物園に引き取られる場合が多く、どうせ人気がないだろうと、粗末な劣悪な環境で飼育されてきたのをもらってきた。
そのために「おもらい動物園」と陰口をたたかれたこともあったという。

タヌキやアナグマを見て「ウチの裏にもいるような動物を何で金を取って見せるんだ?」と言う意見や、「動物園なんだからライオンやゾウを飼え」という意見の中、ずうっと一貫して郷土動物を飼育し続けてきた。

確かに動物園のニワトリに「金を取って見せるのか?」という意見もあるかもしれない。

 しかし、品種改良した日本産のニワトリがそれぞれに農機具と一緒に展示してある。
ワラの臭いとニワトリの臭いが混ざっている展示は、小学生の頃、田中くんちの納屋で遊んだのを思い出す。

ムササビやフクロウは滑空、羽ばたきが出来るように二部屋ぶち抜きの展示。

 リスやテン、ノウサギは冬に白化出来るように照明が工夫されている。

郷土館の外にはちゃんと「里山四聖獣」であるタヌキ・キツネ・アナグマが、そしてハクビシンがいる。(「里山四聖獣」という場合は、ハクビシンは外来動物だから入れない、入れるのはムササビ様なのだ。)
 郷土館の担当者のもっぱらの挑戦は「キクガシラコウモリを群で飛ばす」ことだという。

 そこからちょっと降りたところに「ユーラシアカワウソ」がいる。そして「シンリンオオカミ」もいる。
この二つは、「日本にかつて普通に見られた動物たち」というくくりの展示だ。
なぜかバイソンもいる。おや?と思うかも知れないが、かつて日本には「ハナイズミモリウシ」というバイソンの先祖が住んでいた。
縄文人はこのバイソンの先祖を狩猟していたわけだ。
 こう考えれば、ゾウが展示してあっても納得できる。かつて日本をナウマン象が闊歩していたわけだから。

 このようなちゃんとした理由があっての展示と、「動物園ではやはりゾウが人気だから」といったノーテンキな展示とは、天と地ほどの開きがあると思う。

 もっとも来園者にはまだまだ「子供が喜べば何でもいい」というレベルなのだろうけれど、そこをつなげる努力をするのが俺の役目でもあって、園内には俺の描いたキャラクターで溢れている。

 

 動物園の隣接地には「ワクワク田んぼ」というドロンコ遊びの出来る田んぼがあって、春はカエルやコブナが湧き、夏はホタルと子どもたちのはしゃぐ声でいっぱいだ。

広場には道産子がお客さんを乗せた馬車を引っ張る。「家畜は働いてこそ家畜だ!」と義兄(あにき)は言う。

園内の湿地ではホクリクサンショウウオが産卵している。枯れ木にはフクロウが子育てをし、炭焼き窯もあって、その脇には野生のタヌキのタメフン場がある。

 生態展示を工夫した動物園も確かに興味深いし人気もあるだろう。
でも、タヌキと炭焼き窯のツーショットこそ「動物園を里山回復の発信基地に!」という、富山市ファミリーパークのコンセプトそのものだ。と俺は胸が熱くなる。

 つながらない人にはつながらないだろうな・・・しかし、これこそが日本人が無くしかけているアイデンティティであると思えるのだ。

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